大平窯について

大平窯の由来

安土桃山時代から江戸時代にかけて栄えていた大平の窯を再興しようという意味合いを込めて、
昭和34年に、「奥磯栄麓」が岐阜県可児郡可児町久々利大平に開窯したのが始まりです。


美濃焼へのこだわり

 材料と焼きにこだわりを持ち、美濃の「もぐさ土」と「薪窯焼成」を貫いています。
もぐさ土はビスケットのように、サクッとしていながら滑らかさを失わないように、釉は深みのある艶に仕上げること。

  特に茶碗においては、手に直接触れて抹茶の「温もり」を感じていただくもの。よく締まる土より、もぐさ土のように空気をほどよく含み、きめの細かさと柔らかさを持つ物が、より理想的であると考えます。

 まずは「美濃の材料」ありき。そこが大平窯の原点です。


奥磯太覚の思い

 海外からの陶磁器を模倣するのみだった高級陶磁器が、茶の湯の発達と共に日本人固有の美意識によって最初に作り出されたものが、現在言われている「美濃焼」であると思います。
そして、美濃焼の代表格と言われる、「志野」が誕生してから400年以上が経ちます。
 現在の焼き物は交通手段の発達により、土地固有のものよりも、作り手や使い手がより使いやすいようにと変遷し、その独自のものが失われてきました。
 いったい何に重きを置いて物作りをするか。天然素材にこだわるか、合成素材で済ますか。各地から取り寄せて、いったい何処の物か分からない物よりも、使いにくくてもその土地の癖が出ている物を使っていきたい。